[ ICT ]
(2017/11/26 06:00)
70億ドルの税制優遇策や「アマゾン市」構想も
【ニューヨーク時事】米インターネット通販最大手アマゾン・ドット・コムが計画する「第2本社」をめぐり、北米の自治体による誘致合戦が過熱している。急成長する同社の本社を誘致すれば、高い賃金の就業者が大量に生まれて地域経済が潤うと期待され、238の自治体が名乗りを上げた。
アマゾンは9月に第2本社の建設計画を公表した。年内に候補地を絞り込み、来年中に最終決定する方向で、各自治体はさまざまな誘致策を打ち出している。
「ニューヨークほど多彩な人材と産業を抱える都市は他にない」。ニューヨーク市のデブラシオ市長は、アマゾンのベゾス最高経営責任者(CEO)にラブコールを送る。10月にはエンパイア・ステート・ビルなど市内の名所をアマゾンのコーポレートカラーであるオレンジ色でライトアップし、アピールした。
米シアトルのアマゾン本社では現在、33棟のビルに4万人余りの従業員が働く。事業の急拡大に伴い、周辺だけで優秀な人材を確保するのが難しくなっており、「新天地」を探すことになった。第2本社はシアトルと同じ規模を想定。総投資額は50億ドル(約5600億円)に上り、約5万人が働くことになる。
誘致にはカナダのトロントなど米国外の自治体も立候補。トルドー加首相はベゾス氏への書簡で「カナダほどビジネスに最適な場所はない」と訴えた。米南部ジョージア州アトランタ近郊のストーンクレスト市は、第2本社のために提供する広大な土地を「アマゾン市」として新たに認めるよう州議会に諮る方針を示している。
ニュージャージー州は総額70億ドルの税制優遇策を打ち出し、全米を驚かせた。同州は「経済効果は90億ドルを超える」と本社誘致の意義を強調する。
アマゾンは候補地の条件として①100万人以上の大都市圏②高度な技術を持つ人材の豊富さ③国際空港といった交通の便―などを挙げる。米紙ウォール・ストリート・ジャーナルが条件に基づいて採点したところ、ダラス、ボストン、ワシントンが有力候補という。来年の最終決定に向け、本社争奪戦は今後、一段と熱を帯びる。
(2017/11/26 06:00)