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[ 化学・金属・繊維 ]
(2017/11/28 13:00)
東レは28日、全額出資子会社の「東レハイブリッドコード」(愛知県西尾市)がタイヤ素材などの品質データを改ざんしていたことが判明したと発表した。検査担当者が納入先と合意した規格値に収まるようにデータを書き換えていた。タイヤメーカーなど13社に対し、149件の不正行為が行われていた。問題は2016年7月に発覚。再発防止策を講じたが、公表していなかった。
現在の経団連会長の榊原定征氏は東レ前社長で、同氏の経営責任も問われそうだ。東レは同氏には既に問題を報告し、適切な対応を取るように指示されていたとしている。
東レの日覚昭広社長は都内の本社で記者会見し、「大変なご迷惑と心配をおかけし、誠に申し訳ない」と陳謝。公表が遅れたことについては、法令違反や安全上の問題がなく公表する考えはなかったものの、インターネット上に不正行為に関する書き込みがあったことから、「正確な内容を公表すべきだと考えた」と釈明した。
東レによると、改ざんが行われていたのは、08年4月~16年7月。この期間の品質保証室長2人が、検査成績書作成の承認段階で、検査データを納入先と合意した規格に適合するように書き換えていた。規格値との乖離(かいり)はわずかで、現時点で安全上の問題や法令違反は見つかっていないと説明している。榊原氏は02~10年に社長を務めていた。
また、不正行為発覚後、16年10月に品質保証室長を交代させ、複数で検査成績書をチェックするなど再発防止策を講じたという。
東レは今回の件を受けて、グループ全体に不正行為がないか調査に着手。日覚社長は「全容が解明され次第、関係者の処分を決定する」と述べた。(時事)
子会社によるタイヤ素材などの品質データ改ざんが発覚し、記者会見する東レの日覚昭広社長(28日午前、時事)
経団連の会長会社でも発覚、製造業の不正止まらず
化学大手、東レの子会社で製品の検査データを改ざんする不正が発覚した。東レは現経団連会長の榊原定征氏を輩出している名門企業。神戸製鋼所、日産自動車、三菱マテリアルと代表的な大企業で不祥事が続いており、日本の製造業への信頼は一段と揺らぐことになりそうだ。
東レの公表前日の27日、榊原経団連会長は記者会見で、三菱マテリアルのデータ改ざんについて「極めて残念。日本の製造業に影響を及ぼしかねない深刻な事態だ」と強調。さらに、「(問題は)発覚した時点で可及的速やかに報告しないといけない」と述べていた。
しかし、今回の東レの問題が発覚したのは2016年7月で、1年4カ月も前になる。公表の時期は他企業が不祥事を相次いで発表した後のタイミングだ。日覚昭広社長は「インターネットで書き込まれ、何件か問い合わせもあった。うわさが広がるより説明すべきだと考え、このタイミングになった」と話した。(時事)
(2017/11/28 13:00)