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[ 化学・金属・繊維 ]
(2017/12/1 05:30)
(ブルームバーグ)日本ペイント・ホールディングスが米アクサルタ・コーティング・システムズを買収する計画は合意に至らず、自動車メーカー向け販売を拡大し、米国事業を強化する日ペイントHの計画はご破算となった。両社の発表を受け、日ペイントHの株価は1日に急反発。米国株市場ではアクサルタ株が急落した。
日ペイントHは1日、両社を取り巻くさまざま状況を慎重に検討した結果、買収の検討を中止することを決定したと発表。塗料メーカーとして世界的な大手企業になることを目指す戦略を見直す予定はなく、今後も積極的に合併・買収(M&A)や提携を進めるとの方針を示した。
アクサルタは30日、日ペイントHから「アクサルタの企業価値について期待に応えられず、これだけ規模の大きい買収をまとめるために必要な財務面でのレバレッジを担うつもりがない」との意思表示があったと発表文書で明らかにした。実現すれば日ペイントHの買収案件としては過去最大の規模となっていた。
原材料コストの上昇で利益率が圧迫される中、アクサルタのチャールズ・シェーバー最高経営責任者(CEO)は今月、2つの企業との案件をいずれもまとめることができなかった。同社と世界3位の塗料メーカー、オランダのアクゾノーベルとの合併協議は先週、物別れに終わっていた。アクサルタの筆頭株主は米資産家ウォーレン・バフェット氏が率いるバークシャー・ハサウェイ。
シェーバーCEOは発表文書で、「いずれの案件も実現には至らなかったが、これら企業はアクサルタの世界におけるリーダー的立場を過小評価している」と指摘。「われわれは独立した成長企業として引き続き良いポジションに位置している」と述べた。
日ペイントH株は1日、一時前日比11%高と約1年4カ月ぶりの日中上昇率となった。米国市場ではアクサルタ株の30日終値は前日比16%安の31.66ドル。一時は22%安と、14年の上場来最大の日中下落率を記録した。
アクサルタと日本ペイントとの交渉打ち切りを受け、アクゾノーベルがアクサルタと合併協議を再開する可能性がある。アクゾノーベルの広報担当レスリー・マクギボン氏は「状況を精査する」と述べた。前回の協議で両社は、現金を伴わない「対等合併」で歩み寄ることができなかったという。
(2017/12/1 05:30)