インタビュー/ヒノデHD典取締役常務執行役員・木塚勝典氏

(2024/12/25 12:00)

高機能複合材、東大と設計 人材育成

ヒノデホールディングス(HD、福岡市博多区、浦上紀之社長)は、2023年に高機能複合材料「ミネラルキャスティング」の製造・販売に乗り出した。事業を推進する木塚勝典取締役常務執行役員に、製造の課題や人材育成について聞いた。

―ミネラルキャスティングの特徴は。

「鉱石と樹脂を結合させた複合材料で、鋳鉄の代わりに工作機械の土台などの構造体に用いることで振動の減衰性能や熱安定性を発揮する。上下水道事業で約50年培ったレジンコンクリートの知見や技術開発との親和性が高い。当社の従来の研究の延長線上にあったので容易に取り組めた」

―ミネラルキャスティング事業に期待することは何ですか。

「工作機械や半導体製造装置関連の販路が増えており、鋳物と合わせた販売が見込める。売り上げは25年3月期に1億円を予想する。30年には30億円に引き上げる。今後、工作機械メーカーなどは大型鋳物が手に入りにくくなることが予測される。当社はマンホールふたなど1メートル四方以内の鋳物しか製造していない。将来、大型鋳物からミネラルキャスティングへの置換が進むことが見込まれる」

―製造の課題は。

「製造を担うグループ傘下の日之出水道機器(福岡市博多区)の栃木工場(栃木県大田原市)のパイロットプラント能力を高めること。現在の生産能力は年間2000トン。年間売上高30億円を目指すのであれば生産能力を約3倍に拡大する必要がある。製造時の振動を嫌う医療機器や精密測定機器分野への進出も狙う」

―人材育成の課題はいかがでしょうか。

「設計技術が重要。工作機械の構造体にミネラルキャスティングを使うには振動対策がカギだ。なぜ、どこが、どのように振動するのか。複数箇所にまたがることもある。オーダーの数だけ使い方がある。顧客の課題解決には原因と対策をシミュレーションする解析技術、振動を抑制するための構造技術、生産設計技術を持つ人材育成が急務だ。設計スタッフは若手とベテランの合計10人。東京大学の研究室との共同研究で経験を積んでいる。増加が予想されるオーダーメードへの対応を続けていくことで、さまざまな知見を蓄積でき、対応力に厚みが増す」

(2024/12/25 12:00)

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