[ 科学技術・大学 ]

NASA月探査に日本も参加−邦人飛行士実現、得意技術アピールを

(2017/12/4 05:00)

米航空宇宙局(NASA)が進める新しい月探査計画に日本も加わる見通しになった。NASAは、2024年にも運用が終了する国際宇宙ステーション(ISS)の後継となる「月近傍拠点」を作る構想を打ち出しており、政府は国際探査計画の一翼を担うことを目指す。燃料補給や月面着陸機の往還などの「深宇宙補給技術」を始めとする日本の得意技術で存在感を示せれば、日本人宇宙飛行士が将来月に降り立つ日が来るかもしれない。(冨井哲雄)

【ロシアと協力】

米国はオバマ前政権下では火星を目指していたが、トランプ政権で再び月に注目が集まった。9月に米国は火星探査のための“中継地点”として月の周回軌道に有人可能な新拠点を作る構想「深宇宙探査ゲートウェイ」でロシアと協力するという共同声明を発表した。

新拠点は次期ISSと目されており、20年代後半の完成を目標としている。日本がこの国際的な枠組みに加わるには、日本独自の技術を世界にアピールすることが重要だ。

そんな中、国際宇宙探査について検討する文部科学省の小委員会は1日、国際宇宙探査の在り方についての報告書を公表した。日本の目指す具体的取り組みについて、国産物資補給船「こうのとり」などで培った深宇宙補給技術のほか、宇宙活動に必要な空気や水の再生技術である「有人宇宙滞在技術」などを列記。これら日本が得意とする技術の早期実証を宇宙航空研究開発機構(JAXA)を中心に目指すとした。

JAXAは20年度に月面の目標地点に誤差100メートル以内のピンポイント着陸を目指す月面着陸機「SLIM」(スリム)の実証を行うほか、24年度に火星衛星探査計画(MMX)の実施を目指している。

【費用など課題】

両プロジェクトを確実に実行し、今後の国際宇宙探査のための知見や技術を獲得したい考えだ。ただ、日本人宇宙飛行士が直接月面に降り立つことは明記しておらず、今後の課題となる。また費用負担のあり方も問われそうだ。

こうした日本の取り組みは、国の宇宙開発計画などを示した「宇宙基本計画工程表」の17年度改訂版にも盛り込み、12月中に正式決定する。

18年3月には宇宙の平和利用や民間の協力など国際宇宙探査の協力の枠組みを議論する「第2回国際宇宙探査フォーラム」が東京で開かれる。

参加各国との議論などを通じ、日本の今後の宇宙探査の方向性をより具体化していく必要がある。

(2017/12/4 05:00)

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