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[ 科学技術・大学 ]
(2017/12/4 05:00)
【名古屋】名古屋工業大学工学研究科の佐藤尚准教授らは、強度と、滑らせて動かす「摺動性(しょうどうせい)」に優れた潤滑油が不要の軸受材料を開発した。独自開発の「遠心力混合粉末法」を用い、摺動部のみに固体潤滑粒子を傾斜分散させた。摺動部のみに低強度の固体潤滑粒子が分散しているため、材料全体の強度が保たれる。新幹線や工業用オーブン、洋上風力発電機などでの実用化を見込む。
遠心力混合粉末法は、粉末冶金と遠心鋳造を組み合わせた。鋳型の端に母材金属の粉末と、炭素材料のグラファイトなど自己潤滑材料の粉末を入れておき、鋳型を支えるアームごと回転させながら母材金属の溶湯を鋳型に流し込む。
遠心力により、母材金属の溶湯とのぬれ性が悪いグラファイトの微細粒子について、端部のみに分散できる。
傾斜分散により、摩擦摩耗特性が従来の2倍以上に高まる。母材には銅や銅合金、フェライト系ステンレスを用いている。
グラファイトが剥離し難いため、従来の自己潤滑軸受材料に比べて部品が長寿命化できる。このため、軸受や発電機をメンテナンスフリー化できる。同材料の生産性は従来の遠心鋳造と同等で、製品寸法の制約も受けにくい。
現在、傾斜分散できるのは円柱状材料の先端部のみ。今後は主な摺動部分となる外周部や内周部への分散技術を確立する。軸受など摺動部品メーカーや遠心鋳造技術を保有している企業などと連携し、機械用摺動部品や潤滑剤不要の金型材料などでも実用化を図る。
(2017/12/4 05:00)