[ オピニオン ]
(2017/12/4 05:00)
介護業界で人材不足と事業者の経営難が深刻さを増している。情報通信技術(ICT)やロボットを活用して介護現場を効率化し、介護の魅力を高める取り組みが必要だ。
65歳以上の高齢者が全人口の約3割を占め、介護需要が拡大する一方で、担い手となる人手不足が進んでいる。厚生労働省によると、介護の就業者数は2015年時点で約192万5000人。年率5%(約7万人)で増えているものの、需要の伸びに追いつかない。介護人材の需給ギャップは25年に約38万人になると試算される。
介護情報サービスを手がけるエス・エム・エスによれば、介護職への入職者は年約47万人いる一方、離職者も約36万人に上る。そのうち4割の約14万人は同じ介護職に再就職するが、6割の約22万人は飲食店や小売業など他業界に流れる。景気が上向くにつれ、この傾向は顕著になるそうだ。
介護は人に依存し、人材確保が不可欠。だが保険収入が売り上げの大半を占める事業者にとって、医療費抑制で“実入り”が減る中、賃金を増やすことは困難だ。それが人材不足を招き、人材を確保したい事業者の経営悪化につながっている。
ただ、賃金だけでなく、職場環境や働きやすさが離職や定着を左右するという指摘もある。介護業務では収支管理や報告書類作成といった、直接介護に関わらない間接業務も多い。
ICTやロボットで業務のムダをなくし、職場環境の改善や従業員の満足度を高められれば、離職リスクの低減に寄与する。空いた時間を教育や研修に充て、知識や技術を高めることで、サービス品質の向上も期待できる。
国の社会保障費抑制は事業者の経営を直撃し、倒産・廃業も少なくない。18年4月には3年ぶりに介護報酬が改定される予定で、介護を取り巻く環境はより厳しくなりそうだ。
事業者の6―7割を占める中小事業者は、ICT導入が遅れているといわれる。人材不足と経営難という悪循環を食い止める仕組みが求められる。
(2017/12/4 05:00)
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