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[ 科学技術・大学 ]
(2017/12/14 05:00)
宇宙航空研究開発機構(JAXA)宇宙飛行士、金井宣茂さん(41)の約5カ月間の宇宙滞在が目前に迫った。日本時間の17日、国際宇宙ステーション(ISS)に向けて出発、多くのミッションが任される。特に医師出身である経歴を生かし、滞在中はマウスによる生命科学実験やアルツハイマー病の病態解明などの宇宙医学の関連実験も行う予定だ。(冨井哲雄)
【来年4月帰還】
日本と米国、ロシアの宇宙飛行士3人を乗せたロシア宇宙船「ソユーズ」は、カザフスタン・バイコヌール宇宙基地から打ち上げられる。軌道投入後、ISSへドッキングする。地球への帰還は2018年4月を予定する。
金井さんは海上自衛隊の医師出身。生命科学や医学の実験に強い興味を抱く。ISS滞在中には、微小重力下でのマウスの飼育実験やたんぱく質の結晶化実験を行う予定だ。さらに今回、アルツハイマー病や糖尿病の原因となる「アミロイド繊維」の成長過程を調べる実験が金井さんによって行われることも特徴だ。
訓練期間中、金井さんは研究プロジェクトの責任者に研究の目的などをヒアリングした。さらに地上での実際の実験作業を体験するなど、宇宙飛行士の訓練とは別に実験のための準備を行ってきた。「地上での作業を経験することで実験への理解を深め、作業に生かしたい」と話す。
【水再生技術実証】
また、ISSの日本実験棟「きぼう」のミッションとして注目されているのが水再生技術の実証だ。再生率85%以上、従来装置の4分の1の小型化、さらにメンテナンス不要な技術を導入した装置の実証を金井さん滞在中に始める予定だ。
こうした技術はISSだけでなく、月や火星など将来の有人宇宙滞在技術としても役立つ。装置は18年春にも米国の米スペースXの宇宙船「ドラゴン」で運ばれる予定だ。
さらに宇宙を舞台にした人気アニメ「ガンダム」に登場するキャラクター「ハロ」に似たドローン(飛行ロボット)と金井さんとの連携もユニークだ。「イントボール」と名付けられたこのドローンは、自動制御で宇宙飛行士たちの活動を撮影する。金井さんは、「ロボットと人が共生できるモデルケースとなるのではないか」と期待する。JAXAは将来の探査ミッションに利用できるロボ技術の獲得を目指す考えだ。
きぼうでは、生命科学や物質科学などの実験を実施しており、JAXAの手がけるプロジェクトだけで32のミッションが進行予定だ。金井さんとこれらのミッションとの関わりも注目される。
米国は将来の火星探査に向け有人月面探査計画を進める方向にかじを切った。今後、月面に日本人宇宙飛行士が降り立つことはできるのか。金井さんの活躍が日本の宇宙開発の未来を明るく照らしてくれるかもしれない。
(2017/12/14 05:00)