[ オピニオン ]
(2017/12/15 05:00)
毎週金曜夜に放送中のNHKドラマ『マチ工場のオンナ』。専業主婦だった32歳の時に創業者の父の急逝で突然、ダイヤ精機(東京都大田区)社長を継いだ諏訪貴子さんが原作者だ。ドラマは愛知県が舞台だが、社内風景をはじめ忠実に再現している。
「第2話のリストラシーンでは当時を追体験して涙が止まらなかった」と諏訪さん。切られる側のつらさは多く描かれるが、経営者側に立った作品は少ない。「よくぞ切る側の苦労を描いてくれた」との反響もあった。
3話では、若手社員の意見を取り入れて働きやすい環境づくりに動くが、逆に創業時からの職人との溝を深めてしまう。今のダイヤ精機は幅広い年代の社員が意見を出し合う風通しの良い会社として有名だが、これまでにさまざまな苦難があっただろう。
諏訪さんは「事業承継を取り上げてもらいたいと思っていたタイミングでドラマ化の話が来た」と明かす。自ら苦労しただけに、後継者となり得る社員を計画的に育てる。数年前には学習塾を創業させ、経営を勉強させた。
「私でさえできたから、皆さんだってできます」。しばらくは、事業承継のヒントがちりばめられているであろうドラマの鑑賞に“花金”をささげたいと思う。
(2017/12/15 05:00)