[ オピニオン ]
(2017/12/22 05:00)
小雪の舞う中、ドイツ・バイエルン州ミュンヘン市中心部の広場を埋め尽くすクリスマス・マーケットは大にぎわい。熱いグリューワインを冷えきった体に流し込むと生き返る思いがする。
文化・芸術都市のミュンヘンはシーメンスやBMWなどが本社を置く屈指の工業都市でもある。最近ではIT関連が集積する一方、従来型企業も様変わり。創業170周年を迎えたシーメンスの社長、ジョー・ケーザーさんは「今後5年から10年の間に、これまでで最も革新的な企業になる」と、デジタル事業へのシフトを明言する。
米国のGEが欧州の研究開発拠点を置くほか、IBMはIoT(モノのインターネット)の世界本社を2年前に開設。米インテル、米マイクロソフト、中国ファーウェイもIoT関連の拠点を持つ。
進出が相次ぐ理由について、バイエルン州駐日代表部代表のクリスティアン・ゲルティンガーさんは「世界に向けてオープンであること、製造業が集積し、そこでのビッグデータを活用できる点が大きい」と説明する。
「新しい酒は新しい革袋に」とは聖書の戒めの言葉。古い街並みや慣習を残しつつ、新技術を率先して受け入れる新たな環境づくりが、企業集積につながるのだろう。
(2017/12/22 05:00)