[ オピニオン ]
(2018/1/4 05:00)
2018年の日本経済は、企業部門がけん引役となって緩やかな成長を持続するものとみられる。政府は18年度の経済見通しで実質経済成長率を1・8%とした。昨年央の予測を0・4%上回るものであり、政府の期待の大きさを物語っている。
成長をもたらすのは、米国や中国をはじめとする堅調な海外経済を背景に、輸出が好調を持続することが主因。加えて20年の東京五輪・パラリンピックを控え、競技場やホテルの建設需要がピークを迎えるためだ。
個人消費についても、株高による消費マインドの改善や雇用・所得環境の持ち直しにつれて回復度を高めることから、家計部門が景気押し上げ要因となる可能性もある。安倍晋三首相は産業界に3%の賃上げを要請しており、この賃上げが消費拡大、企業収益拡大といった好循環を生むかどうか注目される。
現在の景気回復局面は12年12月に端を発しており、丸6年目を迎える。すでに高度成長期の「いざなぎ景気」を超え、02年2月から73カ月続いた戦後最長の記録を更新する勢いだ。
経済成長の柱が企業部門だけに、リスク要因を挙げるとすれば、海外経済の下振れということになる。影響力の大きい米国で懸念されるのは、高値圏にある株価の動向と大幅減税の影響だ。バブルを懸念する声は高まっており、金利引き上げの時期や上げ幅次第では米国景気を減速させるため、日本企業への影響も計り知れない。
景気回復が長期化しているものの、懸案のデフレ脱却は出口が見えない。首相は「生産性革命こそがデフレ脱却への確かな道筋になる」と強調し、12月にまとめた2兆円規模の経済政策パッケージの柱の一つに生産性革命を据えた。具体的には3%以上の賃上げをした企業への法人税減税、中小企業の設備投資への固定資産税減免などが含まれる。
企業はこうした流れに乗って生産性向上に努め、収益増大、賃上げ、消費拡大という好循環の実現を目指してほしい。それがさらなる経済成長の押し上げにつながる。
(2018/1/4 05:00)