[ 政治・経済 ]
(2018/1/12 10:00)
(ブルームバーグ)米国での納税を逃れようと多額の資金を海外にため込んできた米企業にとって、最後の節税チャンスがあるかもしれない。ただし新たな会計年度が今年の1月より前に始まっていることが条件で、アップルやマイクロソフト、シスコシステムズがこれに該当する。会計年度が1月に始まるアルファベットやアムジェン、ゼネラル・エレクトリック(GE)はこの恩恵から除外される。
ハーバード・ロースクールのスティーブン・シェイ教授(税法・商法)によると、9月末時点で海外に2520億ドル(約28兆1400億円)の現金を保有していると明らかにしたアップルは、40億ドル以上を節税できる可能性がある。12月に米税制改革の「抜け穴の可能性」について執筆した同教授は、議会共和党が税制改革案成立を急いだために生まれた副作用だと指摘する。
レーガン、オバマ政権で米財務省高官を務めた経歴を持つシェイ教授は、「法案は考える時間も与えず、超特急で成立した」と述べ、この抜け穴をふさぐ規則の導入は財務省や内国歳入庁の管轄だと付け加えた。
シェイ教授が指摘する抜け穴は、15.5%が課税される現金と8%課税の対象となる非流動資産の額確定を企業の会計年度末に行うと定めた条項に起因する。1月より前に会計年度が始まっている企業には、現金を米国の親会社に配当として還流するなど、年度末まで海外滞留現金を減らす猶予が生まれる。
アップルとシスコ、アルファベットにコメントを求めたが、今のところ広報担当者から返答はない。マイクロソフトとオラクル、アムジェン、GEの広報担当者はコメントを控えた。
原題: Apple Seen Getting Possible $4 Billion Boost From Tax-Law Quirk(抜粋)
(2018/1/12 10:00)