[ 人物 ]

【電子版】豊田通商、社長に貸谷専務執行役員、加留部社長は会長に

(2018/2/3 05:00)

  • 会見する貸谷次期社長(左)と加留部社長

【名古屋】豊田通商は2日、貸谷伊知郎専務執行役員(58)が4月1日付で社長に昇格する人事を発表した。加留部淳社長(64)は代表権のある会長に就く。貸谷氏は自動車本部長を務める。当期利益が過去最高水準で推移するなど安定的な経営が続く中、創立70年を迎えるタイミングでトップ交代を決めた。小澤哲会長は6月下旬に予定する株主総会後の取締役会で相談役に退く。

貸谷氏はフランスや英国などに計13年間の駐在経験を持ち、同社が12年に買収したフランス最大の商社CFAO(セイファーオー)ではバイス・チェアマンも務めた。名古屋市内で記者会見した貸谷氏は「グローバル化とデジタル化への対応をスピーディーに進める」と抱負を語った。加留部氏は貸谷氏を次期社長に選んだ理由を「国際感覚に優れ、技術の進化にも前向きに取り組んでいる」と説明した。

加留部氏は11年に社長に就任し、CFAO買収やアフリカ事業の拡大などを推進。豊田通商は2代続けてトヨタ自動車出身者ではない〝生え抜き〟の社長が就任することになる。

【略歴】貸谷 伊知郎氏(かしたに・いちろう)83年(昭58)同志社大経卒、同年豊田通商入社。11年執行役員、15年常務執行役員、16年常務取締役、17年取締役常務執行役員、同年専務執行役員。京都府出身。

≪素顔/豊田通商社長に就任する貸谷伊知郎(かしたに・いちろう)氏―英、仏語に堪能な国際派》

商社マンらしく会社人生35年のうち13年を海外で過ごし、英語に加えてフランス語も堪能な国際派だ。自動車や食料など豊田通商の全8本部のうち五つを経験した“ゼネラリスト”でもある。

最も思い出に残るのは12年に傘下に収めた仏最大商社CFAOでの経験だ。異文化の融合や安全確保に対する考えなどで多くの学びがあった。食や歴史、芸術に対する感性を磨くなど「仕事一辺倒だけではビジネスマンとして世界で戦えない」との思いも強くした。

自身を「“ネアカ”で前向き、せっかちな性格」と分析する。17年末に加留部氏から次期社長を打診された際には「謹んでお受けします」と即答した。今後は特に主力の自動車関連事業で業界が100年に一度とも言われる激変期を迎える中、「新しい発想と行動力で期待に応えたい」と意気込む。趣味のサックス演奏では今でも月に2回ほどレッスンに通っている。 (名古屋・杉本要)

(2018/2/3 05:00)

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