[ オピニオン ]
(2018/2/9 05:00)
1週間ほど入院した時のこと。向かいのベッドにアジア系らしき外国人男性が入ってきた。長時間の手術を受けた様子で、看護師が体温や血圧、痛みの有無を定期的にチェックする。
どこがどれだけ痛いかは本人でないと分からないが、言葉が通じない。すると男性はスマートフォンらしき端末を取り出して、しゃべりかけた。日本語の文章が表示され、逆に看護師が日本語で話すと母国語に変換されるらしい。その用意の良さに驚いた。
グローバル時代、依然として日本企業の前に大きく立ちふさがっているのは言葉の壁だ。社内を見回しても、外国人の取材は通訳に頼り切りという記者も少なくない。
人工知能(AI)の発達で翻訳機の能力が飛躍的に高まれば、冒頭の外国人のように機械を介して会話をするケースが増えるだろう。細かな商談はともかく、一般のビジネスマンが語学教室に通う必要も薄れ、小学生からの英語教育もそれほど重視されなくなるかもしれない。
わが身を振り返れば、中学以来の勉強や受験で苦労した割に、英会話は身に付かなかった。高性能翻訳機の登場が待ち遠しくもあり、本音を言えば外国人と直接会話する喜びを味わえる人がうらやましくもあり…。
(2018/2/9 05:00)