[ オピニオン ]
(2018/2/16 05:00)
経営が順調で技術力を持ちながら、後継者の不在で廃業する中小企業が急増している。由紀精密(神奈川県茅ケ崎市)社長の大坪正人さんは、そうした事業承継問題に一石を投じる試みを始めた。
受け皿会社の由紀ホールディングス(東京都中央区)を設立。第1弾として、電線加工や超硬合金製造など7社の中小製造業を傘下に持つVTCマニュファクチャリング・ホールディングス(同)に70%出資した。
「我々は再生ファンドではない。買収した企業は支配せず、各社の良さを伸ばす」と大坪さん。出資はするが、ブランドや社名は残し、新分野の開拓や生産性向上、海外事業展開などを後押しする。
東京大学大学院を修了後、金型製造ベンチャーのインクスで、製造技術や金型企業に出資するファンドづくりに関わった。その後、祖父が創業した由紀精密に入り、航空宇宙分野に進出して経営を立て直した。この経験と実績が背中を押した。
「グループの理念を共有して互いに発展し、日本を代表するモノづくりの企業グループにしたい」と決意する。今後は年間1―2社の割合で買収し、2021年に売上高100億円超とするのが目標だ。町工場の三代目の挑戦にエールを送りたい。
(2018/2/16 05:00)