[ オピニオン ]
(2018/3/8 05:00)
セブン―イレブン・ジャパンの店舗数が全国2万店を突破した。コンビニエンスストアが飽和といわれながら、店舗数をここまで増やせたのは、変革を続けてきたからだといえる。同社が標榜する「変化対応力」とそれを具現化する「徹底力」の普遍性に学ぶべき点は多い。
1974年に東京・豊洲に1号店を出店。1万店到達は2003年だから、1号店から約30年かかった。しかし1万5000店は1万店達成から10年後の13年、さらに2万店は一段とピッチが上がり、18年1月末と5年間で達成した。
いくら出店しても消費者の支持を得られなければ、不採算店のヤマを築くだけだ。2万店の達成はおろか維持すらできなかっただろう。消費者の支持を受け続けてきたのは、変化対応力と徹底力である。
消費者や時代の変化を察知する情報収集・分析力に加え、一度始めた事業は簡単には諦めない。改善と工夫を重ね、何度でも一つの事業に挑戦していく粘り強さ。今や1000億円近くの売上高のある「淹れたてコーヒー」は成功するまでに何度も失敗したという。
変化対応力と徹底力は頭では分かっていても、なかなか実行できるものではない。この点で“コンビニの父”といわれた鈴木敏文セブン&アイ・ホールディングス元会長の存在は大きかった。
それを社風にまで高める徹底力は、単にお題目で終わらせることはなかった。組織を弱体化させるのは、はびこる妥協と無責任だとすれば、それを徹底的に排除してきた。
セブン―イレブンは2万店を単なる記号にしてはなるまい。このところ、コンビニは飽和状態になっているといわれる。しかし「変化に対応していけば、コンビニは飽和にならない」とは鈴木氏の言葉だ。
少子高齢化や人口減に伴い、市場環境はさらに変化することが確実視される。3万店、4万店に向けて変化の気づきを維持し、新しい挑戦をして、コンビニを超越した存在になってほしいものである。
(2018/3/8 05:00)
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