[ オピニオン ]
(2018/3/8 05:00)
20日に新装開業する京都駅前地下街「ポルタ」の東エリア。『京都暮らし』をコンセプトに、町屋をイメージした格子の共通デザインで旅行客向けに京都の情緒を演出する。目玉の一つが、2カ所の広場の天井いっぱいに広がる蛇の目傘と番傘のオブジェだ。
市内で京和傘を製造する日吉屋(上京区)が担当した。4代目の娘婿となり、2004年に5代目を継いだ西堀耕太郎さん。和歌山県新宮市の公務員から、廃業寸前の和傘の世界に転じた。
産地としての集積がないため国の「伝統的工芸品」にも指定されない。孤独な手探りの中から和傘を折り畳む伝統の技術を生かし、インテリア照明に進出。クールジャパンの担い手のひとりとして、海外に販路を広げる。
安土桃山時代まで日傘が主流で畳む機能もなかった和傘は、機能進化と分業で江戸時代に普及した。「伝統の技が最初から伝統だったわけではない。伝統とは革新の連続」と西堀さん。
老舗の技を、デザイナーや買い付け事業者と連携することで現代に生かそうという取り組みを経済産業省が進めている。外国人が見ると評価のポイントも変わり、商品作りのヒントにもなる。老舗に求められるのは技だけではなく、伝統を生かす知恵だ。
(2018/3/8 05:00)