[ オピニオン ]
(2018/3/9 05:00)
まったく縁のなかった東北地方を担当するようになったのは2014年の秋のこと。取材先との会話や地元産業界の会合には、必ず「震災からの復興」という言葉があった。東日本大震災が東北地方に残した傷跡の大きさを、ずっしりと実感した。
それから3年半。とりわけ津波による被害が大きかった福島、宮城、岩手の沿岸部は日に日に姿を変えている。新しい街と道路や鉄道の整備が進み、移り住んだときには最新だった車のナビゲーションシステムも近ごろは役に立たないことが多い。
「復興」の2文字を見聞きする機会は、明らかに減った。国の復興予算は年々減少し、これまで地元に好況をもたらした震災特需もピークアウトする。果たして「東北復興」は成ったのか。
地元企業には自立が求められ、追い風のない競争が始まっている。自動車や半導体産業が新たな東北経済の土台になりつつある。大型加速器の建設と立地という夢のある二つのプロジェクトも大詰めを迎えている。一方で人口減や少子高齢化の進展など、地域の内包する課題は多い。
復興の先へ―。次代を切り開く成長の種を育み、大きく、美しい花を咲かせよう。大震災から11日で7年。改めて東北にエールを送る。
(2018/3/9 05:00)