[ オピニオン ]
(2018/3/22 05:00)
福井の街を覆った雪が、すっかり姿を消した。国道8号線で1500台が立ち往生するなど幹線交通のまひが10日間も続き、死者まで出た2月の豪雪は幻のよう。だが今後、どう備えるのかは難しい。
このほど閉会した福井県議会は雪害対応が焦点だった。県が企業の業務規制・出勤規制をしながら除雪を徹底せよとか、運休・閉鎖したJRと高速道路会社に、知事が強く関与せよなどの極論まで聞かれた。
37年前、1981年の『56豪雪』以来の積雪量。当時の北陸本線がタフだったのは国営だったからなのか。人口はあまり変わらないがマイカーは倍増。田畑の多くが市街地になり、住民も高齢化するなど生活環境は大きく変わった。
今回の豪雪でも、山がちで毎年、大雪と向き合う地域はそれなりの耐性を発揮したようだ。雪は憎いばかりでなく、共存できる対象だと感じられた。それでも物流ストップの経済と生活への影響は甚大だった。
「雪のけんかはするな。雪は消える、けんかは残る」―。見知らぬご近所と汗をかいたり、動けない車を押したり、雪難の中に思い出ができた。一部の山道はまだ除雪で規制中。我慢強いとされる県民性で受け止め、知恵のある対策で全国の目を集めてほしい。
(2018/3/22 05:00)