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第30回「中小企業優秀新技術・新製品賞」(3)一般部門 優良賞

(2018/4/11 05:00)

【一般部門】

《優良賞》

■ジェイ・サイエンス・ラボ/有機微量元素分析装置 JM11型

炭素水素分析法である「Pregl法」を基本とし、窒素分析においては「Dumas法」を組み合わせて水素、炭素、窒素の3元素を同時分析できるようにした。固体、液体などの各種形態の試料に対応しており、医薬品の合成研究の確認分析から石油製品や化成品の構造確認分析、環境アセスメント分析までの多岐にわたる分野の分析項目に適用できる。燃焼炉、最大1000度Cで制御する試料炉、還元炉で構成。燃焼後の灰分を回収し、合成過程の不純物確認や灰分の無機分析を可能にした。また従来の炉は石英管を抜いて充填試薬の劣化を確認していたが、水平型の開閉扉を採用し、これを解決。管へのアクセスを向上し、劣化を目視できるようにした。(京都市南区)

■ソルテック/金属組子加締めによる接合工法の開発

金属薄板を箱形形状の筐体(きょうたい)に加工する場合、通常はプレス機やベンダーで折り曲げた後、ビス止め、リベット加締め、溶接などによって接合する必要がある。これに対し、プレス機で曲げ加工するのと同時に、加締め接合によって4カ所の辺を組子のようにかん合して一体成型する「金属板箱曲げ接合工法」を開発し、接合工程を不要にした。板厚0・3ミリメートルまで対応できる。金型を用いるため、熟練工でなくても加工可能。製品サイズにもよるが、1人で1時間当たり約800台を生産できるため、溶接に比べて生産性が高い。また同社試算によると、累計生産数が約800台を超えると溶接工法のコストを下回った。このため、大量生産品向けに採用を提案する。(山形県米沢市)

■テレメディカ/聴診トレーニング専用スピーカー 聴くゾウ

筐体(きょうたい)のシリコンシートに聴診器をあてると生体音を再生する。独自の「筐体上部一体型ユニット構造」でスピーカーユニットを固定し、外部からの音伝搬を防止するとともに、外部への音漏出を遮断して生体内に似た環境を再現した。スピーカーユニットにはパイオニアが製品向けにチューニングした重低音スピーカーを採用しており、心音や肺音などの低い帯域(20―50ヘルツ)もリアルに再生できる。音源は正常音と異常音の計132種類を用意し、専用サイト「聴診ポータルサイト」に掲載している。聴診訓練は等身大シミュレーターを用いるため、場所や回数が限られることが課題だった。利便性の高い手のひらサイズとし、課題を解消した。(横浜市青葉区)

■南信精機製作所/「スマートフォン振動モーター用整流子の組立新技法」

振動モーターの中核部品である整流子の組み立てで、「円筒先端カシメ工程」を開発した。整流子は回転子と外部回路の間で電流の方向を変える電気回転スイッチで、円筒状の樹脂部品、金属板、ドーナツ状のワッシャーで構成する。通常は樹脂部品の側面に複数の金属板を貼り付けた後、ワッシャーで下部を固定する。ただ金属板の剥離による品質不良が課題だった。このため樹脂を超音波で溶かして金属板の上部を溶着し、上下でしっかりと固定して剥離を防止した。モーター耐久試験では、既存品の5倍の長寿命となる連続稼働500時間を達成した。部品生産を内製化しているほか、組み立てから検査までの工程を全自動化し、価格を既存品程度に抑えた。(長野県飯島町)

■ニシムラ/デザイン性と安全性を兼ね備えた「フラット蝶番」

扉の開閉機構である蝶番(ちょうつがい)は通常、回転軸が外側に飛び出している。この回転軸を内蔵し、扉と一体化したフラット形状にしてデザイン性を高めた。扉が閉じた状態から90度まで開く回転軸、90度から180度まで開く回転軸の2軸で構成し、内部で回転軸が切り替わる機構を開発した。また扉を開けた際、一般的な蝶番は扉と扉枠の隙間が25ミリメートル以上になる。フラット蝶番は5ミリメートル以下のため、吊元の扉表面側から指が挟まりにくく、安全性に配慮した。施工にも配慮し、ドライバーで上下・左右・前後を微調整できる3次元調整機能を搭載した。パナソニック・エコソリューションズと共同開発。2017年度に蝶番では初めて「グッドデザイン賞」を受賞した。(大阪府八尾市)

■日伸工業/バリレス切断を可能にした量産プレス工程

車載用リチウムイオン電池の部品には“バリ・エッジ不可”といった厳しい品質要求が課せられる。通常のプレス加工では切断時にバリが発生するため、後工程で処理する必要がある。ただ集電体などの複雑形状で構造的に弱い部品はバレル研磨などのバリ処理をできず、手作業に頼ることも多かった。こうした課題を解消するため、部材の切断箇所に上下からV溝(エッジは曲面加工)をプレス加工した上で、V溝の先端を破断する「ラウンドトリム」を開発した。ラウンドトリムの後、特殊な曲げ加工を施して製品の形状にする。2台のプレス機を連結して制御し、高精度のバリレス切断工程、曲げ加工・寸法調整工程からなる一連のプレス一貫加工技術を確立した。(大津市)

■東尾メック/レンチ不要の易施工継手「KKベスト」

給排水の衛生配管、空調配管やエアー配管に用いられる拡管式継ぎ手は信頼性が高く、機械式継ぎ手の約8割のシェアを占める。ただ拡管後に重いレンチでナットを締め付けて接合する必要があり、重労働で生産性が低いことが課題だった。これを解消した。拡管工程は、レンチを用いずにナットを取り外せるようにした。また接合工程は、継ぎ手本体と拡管部が一体になったナットを45度回転させた後、樹脂製のFIロックリングを差し込むだけで接合が完了する。通常、中空配管は拡管機を担いで作業するが、遠隔式電動拡管機を用意し、安全・容易に作業可能にした。接合時間を大幅に短縮。品質を均一化し、脱管などのトラブルを防止できる。(大阪府河内長野市)

■プラナスケミカル/ネジの緩みを検出するクラディス工法

緩んだネジを発光させて、目視で点検できるようにする。ネジ部分を蛍光顔料を含有した柔軟な塗料で下塗りした後、紫外線を遮る硬質塗料を上塗りして2層にする。緩みが生じると、硬質塗料が割れて、蛍光塗料が露出する。そこに紫外線を照射すると発光し、緩んだネジを確認できる。熟練を要さず、短時間で、高所でも地上から双眼鏡で点検できる。ネジを多用している構造物やプラント、機械設備などの点検に適している。紫外線照射器は6ワットLEDと60ワットLEDの2タイプを用意した。作業者によるバラつきを防ぐため、一定量を塗布できる道具も開発中。またドローンを活用する点検方法の開発、IoT化に向けたシステム構築にも取り組んでいる。(名古屋市緑区)

■マイクロシグナル/シールド内蔵低容量ドット受光IC

フォトダイオードはP型半導体とN型半導体の接合(拡散)領域を形成し、受光で発生した電荷をP型とN型のそれぞれの電極から光電流として取り出し、光電変換素子として機能する。通常は受光部領域のほぼ100%に接合領域を形成している。これに対し、接合領域を微小ドット形状(1平方ミリメートル当たり約1万個)にする新技術を実用化し、受光部領域の1%以下にした。これにより、帯域やゲインを数倍に向上。また信号増幅回路と集積化することにより、電磁ノイズの影響を低減し、高感度を実現した。インバーター蛍光灯の場合、誤作動を抑制し、消費電力を半減できた。光電スイッチ向けに数十万個の納入実績があり、国内外から引き合いがある。(京都府久御山町)

■MIRAI―LABO/リフィルバッテリー式発電機 G―CROSS

本体に4本のリチウムイオンバッテリーを内蔵し、交換しながら連続運転できる。それぞれの電圧差を管理し、抜いた時に残りのバッテリーが瞬時に補う「無瞬断切り替え機能」を採用した。バッテリーは小型なのに大容量で、本体は定格出力1・5キロワット。太陽光発電システムに接続し、晴天時に1本約4時間で急速充電可能なMPPTコントローラーも搭載した。本体はタイヤ付きで重量58キログラム、バッテリーは同11キログラム(1本)のため、人力で移動できる。ガソリン式発電機に比べて騒音が小さく、排ガスによる健康被害などの危険性もないため、屋内でも使用可能。道路工事現場などで問題となっているガソリン式による火災も解決できる。(東京都八王子市)

(2018/4/11 05:00)

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