[ オピニオン ]
(2018/5/2 05:00)
これまで厳しい規制のあった飛行ロボット(ドローン)の目視外飛行が、緩和される可能性が強まってきた。今夏にはまず離島や山間部への荷物配送、2020年以降には都市部の荷物輸送や橋りょうなどのインフラ点検にも、一定条件下でドローン利用が可能になる見通しだ。ただ、規制緩和で住宅地上空をドローンが乱舞したり、特定個人の無断撮影や荷物が落下したりする事故は避けなければならない。市場の発展のためにも、適正なルールの整備を早急に進めてほしい。
現時点では、ドローンを操縦者が目視できない範囲に飛ばしたり、私有地の上空を飛行させるには国土交通省の事前承認が必要だ。ドローン普及の足かせになっている。人がいる場所へ荷物を運んだり、町の様子を撮影したりする場合は、私有地の上空を飛行することが避けられない。これらがすべて“アウト”なら、ドローンの実効性は大きく下がる。ドローンビジネスが注目されつつ、普及が進まない要因だった。
ドローンは無人ヘリコプターよりも軽量・低価格で小回りがきくほか、飛行中の騒音も少ない長所がある。バッテリーの航続性能や搭載能力が限られる短所もあるが、これらを割り切れる利用目的なら障害は小さい。測量会社や海岸モニタリングシステムにはドローンが使われ始めているし、水産業や自衛隊、警備会社などでドローンを使う構想もある。水産業では遠洋漁業で魚のいる場所を遠くから見つける作業、自衛隊や警備会社はヘリより小騒音の利点を生かし、不審者の侵入監視や無人警備などに活用する予定だ。
橋りょうや高速道路などの老朽インフラ管理も、ドローンが使えれば解決する可能性が高まる。下水管管理も同様だ。これらは人々の生活に不可欠で、なおかつ人手不足が深刻であり、ドローンへの期待は大きい。
規制緩和が実施されれば、ドローン市場の可能性は一気に広がる。物流や都市インフラ、建設土木、農林水産業などの人手不足が深刻な分野で活用が進んでいくことを期待したい。
(2018/5/2 05:00)
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