[ オピニオン ]
(2018/5/14 05:00)
関西の経済界がベンチャー企業を育成しようと、「ベンチャーエコシステム」と呼ばれる支援基盤の整備に乗り出す。ベンチャーエコシステムは事業構想から起業に必要な資金の供給、事業化、資金回収、新たな事業への再投資という好循環を指す。ベンチャーに資金供給するベンチャーキャピタル(VC)は東京に一極集中し、地方都市の潜在力は眠ったままだ。関西にシステムを整え、成功モデルを示してほしい。
折しも自民党の知的財産戦略調査会は、技術革新が持続的に起きるよう、企業版エンジェル税制の創設などを柱とする提言をまとめた。資金供給を通じベンチャーを後押しする企業の税制を優遇する案だ。関西はもとよりVCが少ない地方都市も、アイデアや技術に秀でたベンチャーの発掘、投資が投資を生む好循環につなげる。
関西にエコシステムを根付かせようと旗を振るのは、関西経済連合会や関西経済同友会といった経済団体。中でも関西同友会はベンチャー支援に関係する官民の組織「関西ベンチャー支援ボード(仮称)」発足が必要と説き、早期実現を主張する。
エコシステムの必要性を主張する関係者に共通するのは、VCが東京一極に集中し、起業家が関西で創業を敬遠することへの危機感だ。提言をまとめた関西同友会「関西版ベンチャーエコシステム委員会」の深野弘行委員長(伊藤忠商事常務理事)は、「VCのヘッドクオーター(本部)の7―8割が東京。人も情報も集中している」と指摘する。
とはいえ関西には、追い風が吹く。日本が2019年に議長国を努める20カ国・地域(G20)首脳会議の会場になるほか、25年国際博覧会(万博)の誘致を目指し、世界に門戸を開く。
再生医療や試作といった関西の強い分野に加え、IoT(モノのインターネット)やフィンテック(金融とITの融合)をはじめとする幅広い技術を世界に披露するチャンス。エコシステムの枠組みを早期に固め、関西の眠っている力を目覚めさせてほしい。
(2018/5/14 05:00)
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