[ オピニオン ]
(2018/5/22 05:00)
夏の陽気が感じられる季節になった。各地でさまざまな祭りが開かれ、多くの観光客が詰めかけている。埼玉県の秩父地域でも芝桜まつりなど見物客でにぎわった。同地域では春に限らず、12月の秩父夜祭りをはじめ、ほぼ一年中、何らかの祭りが行われている。それが独特の産業基盤につながっている。
中小企業論が専門で全国の産業集積地に詳しい明治大学の森下正教授によると、同地域の特色の一つが縦と横のネットワークの強さ。行政や商工会議所などによる支援の輪がすぐに構築され、企業同士も祭りを通じた交流があり、産業界で何かを共同で行うにも合意が得られやすく動きも速い。
他地域では「ヒューマンネットワークが弱いと何か仕掛けをしてもうまくいかない」と森下教授。祭りが産業界の横連携をここまで媒介している例は珍しい。
同地域は、新しいことにも意欲的。最近は富裕層の多い米国シリコンバレーに進出し、菓子や日本酒などの名産品をPR。輸出も始めた。
3月は秩父市長らも呼び「秩父ナイト」と題した祭りを開催。グーグルなど地元の有名企業関係者も参加し、大盛況だった。また一つ、新たな祭りが加わり、さらなる産業活性化の礎となろう。
(2018/5/22 05:00)