[ オピニオン ]
(2018/5/28 05:00)
「はいさい、ぐすーよーちゅーうがなびら」−。初めてこの言葉を聞いた時、理解できず戸惑ったことを覚えている。沖縄でスピーチ冒頭に話される“しまくとぅば(島ことば)”によるあいさつだ。
「こんにちは、皆さんご機嫌いかがですか」を意味する沖縄の定型句で、女性が言う場合は最初が「はいたい」と変わる。行政や経済関係の会合、行事などで、知事をはじめ登壇者が「はいさい―」と始めるのが日常風景だ。
だが県民全体で見ると、方言は日常的な存在でなくなったようだ。県の2017年度調査では、しまくとぅばをあいさつ程度以上使う人の割合は54・6%。前年度に比べ微増だが、県は22年度の同割合88%を掲げる。
目標達成に向け施策を展開中。行事での使用もその一つだ。春からはウェブサイト「しまくとぅばナビ」で浸透を図る。サイトには音声付きで学べる単語帳、会話帳もある。子どもも大人も楽しめる。
沖縄は広大な海域を擁し、地域や島によって言葉や文化が異なる、豊かな多様性を抱える地域だ。その奥深さは語り尽くせないが、そろそろ紙幅が尽きてきた。このあたりで「いっぺーにふぇーでーびたん(大変ありがとうございました)」と締めくくろう。
(2018/5/28 05:00)