[ オピニオン ]
(2018/6/22 05:00)
幼児を自転車の前後に乗せた母親が坂道をスイスイ登っていく。モーターの力でペダルを漕(こ)ぐのを助ける電動アシスト自転車は、1993年にヤマハ発動機が世界で初めて発売した。当初の利用者層はシニア世代が中心だった。
最近は「子育て世代に加え、高校生が乗ってくれるようになった」と同社幹部は喜ぶ。地元・静岡県では、有名な進学校で購入率が高いという。周囲に坂が多い、時間や体力の効率的な使い方など想定される理由はさまざま。
女子高生の利用増は流行発信効果も期待できる。市場拡大とともに他社が参入し、いわゆる“ママチャリ”からスポーツ仕様など商品群が広がってきた。技術的には電池が鉛からニッケル水素、リチウムイオンと進化。
航続距離が伸び、充電時間も短縮された。電動補助比率を高める法改正や幼児2人同乗の安全基準の制定も普及を後押しした。今後、運転免許証を自主返納した高齢者の足としての需要も高まる気配。欧州でもスポーツ仕様を中心に人気が高まってきた。
誕生から四半世紀。地球環境や少子高齢化などの社会問題の表面化を背景に老若男女に普及した日本発の技術が世界を席巻するか。さらなる技術進化と製品開発に期待したい。
(2018/6/22 05:00)