[ オピニオン ]
(2018/7/17 05:00)
IoT(モノのインターネット)化が進むのと並行して、日本や日本企業がサイバー攻撃を受ける危険性が高まっている。サイバー攻撃というと一般にはハッカーのゲーム遊びのイメージもあるが、今日の実行の主役は国家レベルとの見方が強い。中国もロシアも北朝鮮も専門部隊で強化に励む中、日本も国レベルの強化対策が必要だ。
戦闘機やミサイルが飛び交う“目に見える戦争”に対し、サイバー戦争の実態は分かりにくい。ただ現実にはステルス戦闘機など最新兵器の技術を盗みだそうとしたり、高官がいつどこで、誰と会ったかなどのような個人情報がサイバー攻撃で丸裸にされようとしているのは周知の事実。ハッカーの遊びなら自分の技能を誇示するためプログラム中身を変えたりするケースもあるが、サイバー攻撃ならば手の内をさらす行動はしない。相手の情報を、ただつかんでいるだけで優位に立てるからだ。
太平洋戦争時、日本はミッドウェー海戦や山本五十六連合艦隊司令長官機撃墜事件で暗号を米軍に読まれ、苦杯をなめた。同じ内容を企業に置き換えると買収交渉や商談の提示額を相手側に知られたり、設計図面を無断でコピーされ、商品競争に敗北したりするケースが考えられる。大手企業の場合、対策もそれなりに進んでいるものの、IoTで下請け中小企業や個人のパソコンまでがネットでつながるようになれば、対策が必要な端末の数はうなぎ上りに増加し、脆弱(ぜいじゃく)性が増すのは否めない。
防衛省のシステムに寄せられる不正アクセスや攻撃メールは年間100万件超で、サイバー防衛隊は侵入経路の解析などに追われている。ウイルスの中身も高度化し、パターン解析では読み取れなくなっている。専門人材の強化、育成が急務だ。
民間企業はサイバー対策先進国・イスラエルなどの製品で拡販を図る動きもある。こうした動きを政府も積極支援する制度が必要だ。不正コピーなどで企業のモノづくり力がそがれれば、損害を被るのは国家であり、国民なのだから。
(2018/7/17 05:00)
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