[ オピニオン ]
(2018/7/18 05:00)
かつて日本の電機メーカーの社名は、誰もが知っていた。しかしこれからは「若者が知らない会社になってしまうのでは」とあるメーカーは危機感を隠さない。その背景にあるのはBツーB(企業間)ビジネスへのシフトだ。
多くの企業がBツーBビジネスを重視し、白物家電やパソコン、携帯電話といった商品から撤退することで、日常生活で社名に触れる機会が減っていく。10年以上前にBツーBにかじを切ったある会社は「40代以上の人は当社の社名を知ってくれているが、20代の人はほとんど知らなくて」と嘆く。
メルカリが6月に上場した。公募株に対する応募倍率35倍という人気ぶりは成長性の高さを評価した結果だろうが、メルカリの事業が若者の生活に浸透しており、知名度が高いのも一因ではないか。若者が「知っている」企業の銘柄は変わりつつある。
“知る人ぞ知る”優良企業はたくさんある。コモディティー化した製品から撤退し、技術力を生かせて利益も確保できる分野にシフトするのも経営の王道だ。
みんなが知っている企業は経営者も働く人も誇らしいだろう。とはいえ、企業も人も中身が勝負。知名度にかかわらず『魅力ある会社』であれば、その輝きは薄れない。
(2018/7/18 05:00)