[ オピニオン ]
(2018/8/22 05:00)
地震、豪雨などの自然災害によるリスクが発生した場合、企業が対応すべき課題は多岐にわたる。事前対策として必要性が高まっている事業継続計画(BCP)の策定は、大企業を中心に進んできた。災害から企業活動を守り、継続する取り組みに不断の努力を続けたい。
災害発生時に、どのように行動するかを具体的に定めている企業は増えてきている。ただ、災害対策を適切に判断し、行動がとれるかどうかは、それら対策を実行する人の能力、スキルが影響する。企業において、災害時に活躍できる防災の担い手の育成を急ぐべきだ。
大規模な災害の発生が予想される南海トラフ地震に備え、愛知県東部の東三河地域では、地元の豊橋技術科学大学が中心となり、防災の担い手育成に取り組んでいる。企業や自治体などの防災担当者らを対象に「東三河防災カレッジ」を開講し、地域の防災力強化を図ってきた。
防災についての基礎知識の習得に加えて、10月に始まる2018年度は約1年半の期間におよぶ長期履修コースを設ける。これだけでも防災の担い手育成に向けた本気度がうかがえる。
長期履修コースでは、大学の研究に基づく知見、技術開発の成果を踏まえた講義、演習を行う。災害時に指導的な役割を担い、実践力を身に付けた“防災のエキスパート”の養成につながることを期待したい。
日本は災害多発国でありながら、防災に携わる専門人材の育成について、組織的・体系的に行われてきたとは言い難い。業際の垣根を越える動きが進む今日、ひとたび被災し、操業停止となった影響は個別の企業にとどまらず、産業界全体に波及する恐れもある。専門人材の育成が急務だ。
防災の専門人材を育成するための教育・訓練に、企業も積極的に関わるべきだ。個別の企業が持つ防災に関する技術、ノウハウを持ち寄れば、実践的な研修プログラムの作成に役立つはずだ。もはや防災は“オールジャパン”で取り組むべき課題だ。産業界は、その中心的役割を果たしていく責務がある。
(2018/8/22 05:00)
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