[ オピニオン ]
(2018/9/28 05:00)
2018年の「環境危機時計」は前年より14分進み、9時47分になった。ここ数年、年に2―4分の進行だったが、今年は急激に進んだ。調査を始めた1992年の7時49分から2時間近く進み、回答者が「極めて不安」と感じていることが明らかになった。
旭硝子財団がまとめた地球環境問題と人類の存続に関するアンケート結果だ。139カ国1866人が回答。年代別ではこれまで60歳以上の危機時刻が最も進んでいたのに対し、今年は20―30代の時刻が急激に進み、10時台に突入した。
これから何十年も地球で暮らしていかなければならない世代にとって環境の危機が実感として迫ってきているということだろう。
回答者の多い日本や中国の針の進みが大幅だ。前年に比べ日本は20分、中国は27分進み、10時34分になった。危機意識の高まりをうかがわせる。パリ協定離脱を表明した米国も針は進んだ。一方、東欧・旧ソ連は前年より針が遅れて、8時台にとどまった。
気候変動をはじめ、生物多様性、水資源、海洋のプラスチック汚染など環境危機時計を進める要因は少なくない。将来世代が心地よく暮らせる地球にするため、現世代が時計の針を戻す努力をしなければならない。
(2018/9/28 05:00)