[ オピニオン ]
(2018/10/2 05:00)
2年ぶりの嬉しいニュースである。京都大学高等研究院で特別教授の本庶佑さん(76)が、2018年のノーベル生理学医学賞に輝いた。
受賞業績は、免疫抑制分子『PD―1分子』を同定し、がん治療の新たな薬づくりに道を開いたこと。共同受賞した米ジェームズ・P・アリソン氏も、がん抗体製剤の開発が受賞理由だった。人類最大の“敵”とも言われるがんとの戦いは、ノーベル賞にまことにふさわしい。
本庶さんは日本を代表する免疫学者として知られ、政府の総合科学技術会議議員をはじめ官民の各種会合で貴重な意見を発信している。かと思えば14年2月の日刊工業新聞のコラムでは「雨だったから予約をキャンセルする人も出た。プレーしている人が少なかった」と、のんびりと週末ゴルフで気分転換する一面を披露している。
生理学医学賞は近年、12年の山中伸弥さん、15年の大村智さん、16年の大隅良典さんと、日本人の受賞が短期間で続いている。本庶さんも早くから各方面で有力候補と目されてきた。日本の研究者の層の厚さが、世界にも広く知られるようになった。
きょうは物理学賞、あすは化学賞。日本人受賞が続いても、なんの不思議もない。大いに期待したい。
(2018/10/2 05:00)