[ オピニオン ]
(2018/10/29 05:00)
7月の西日本豪雨をはじめ、相次ぐ異常気象や自然災害が日本列島各地に甚大な被害をもたらした。今なお避難所生活を強いられている被災者も多い。異常気象や天変地異が日常化することを想定し、万全の備えをしておくことが重要だ。
企業活動も大きな打撃を与えた。経済産業省がまとめた7月の鉱工業生産指数によると、豪雨の影響で自動車を含む輸送機械の生産が、前月を大幅に下回った。他の業種でも工場が被災したり部品・資材の入荷が遅れたりして、操業停止を余儀なくされる例が少なからずあった。この影響で今後、中小・零細企業の倒産や廃業が増えるとの指摘もある。
頻発する天変地異にどう対処するか。異常気象について、まず心がけなければならないのは「異常」が日常になる事態を想定した対策づくりだ。企業や地方自治体などは多くの場合、過去のデータに基づいて防災対策を講じる。ところが最近の異常気象では「記録的な」あるいは「前例のない」雨量や強風に多くの企業や住民が苦しんだ。猛烈な強風に海水が巻き上げられ、その塩分が送電線や配電線に付着したことによる「塩害」が、その端的な例と言える。
前例のない事象が立て続けに起きる原因の解明は、専門家に委ねるしかない。ただ、7月の豪雨で工場が被害を受けたJFEスチールの柿木厚司社長は、自社の経験から得た教訓として「想定外の事象にも対応できるよう、行政も企業も防災対策を見直すべき」と指摘する。
これからは地震への備えも、従来より難しくなる。ロボットやセンサーを多用する最近の工場では、これらの位置が地震でほんの少しずれただけでも、機能しなくなる可能性がある。防災学の専門家によれば「ロボットや人工知能(AI)の普及で、従来の経験則が通用しない事態が生じた場合にどう対処するかを、考えておく必要がある」という。
自然災害に人の常識は当てはまらない。経験則にとらわれず、より深刻な事態をも想定して、人事を尽くす必要がある。
(2018/10/29 05:00)
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