[ オピニオン ]
(2018/11/1 05:00)
きょう、東京・有明の東京ビッグサイトで開幕する「第29回日本国際工作機械見本市(JIMTOF2018)」では、出展機300台以上がIoT(モノのインターネット)でつながれる。稼働や生産の情報をモニター表示し、会場に工場を再現するという。実機でもIoT化も進め、日本の工作機械メーカーはIoTの有効活用で世界一を目指してほしい。
IoT化で期待されるのが、故障の予兆検知だ。インターネット経由で顧客の工作機械の稼働データを集めて分析することで、故障発生が近いと判断できる。顧客はトラブル発生前に修理ができるので、故障による予期せぬ操業停止を回避できる。
日本メーカーはサービス力に定評がある。代理店とともに、故障があるとすぐ駆けつけられるサービス網を整えた。日本からの輸出が少ないアフリカにも交換部品の在庫を持つメーカーがあったほどだ。IoTの活用次第では、海外ユーザーに同質のサービスを提供可能だ。
IoTは顧客への技術支援も高度化する。以前から工作機械や工具メーカーと一緒に先端加工技術を研究し、ユーザーに提供してきた。IoTで加工状況の詳細がデータ化されるので、スピーディーで適切な助言ができ、ユーザー満足度が高まる。
地道なサービス、技術支援があったからこそ、日本の業界は何度も苦境を乗り越えてきた。10年前の08年10月の受注額は好況の目安とされる月間1000億円を4年半ぶりに割り、11月は500億円台に急降下。09年1月は190億円台と、比較可能な統計がある88年1月以降で初めて200億円を割った。
発端はリーマン・ショックだった。需要が“蒸発”したが、国内に100社近くある工作機械メーカーに目立った破綻はなく、業界は復活を遂げた。
IoTの実装だけを目的にせず、“DNA”と呼べるサービス、技術支援を磨くツールとしてIoTを活用してほしい。6日までの会期中、JIMTOF2018には15万人の来場を見込む。顧客がIoTに求めるニーズを聞く機会だ。
(2018/11/1 05:00)
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