[ オピニオン ]
(2018/11/20 05:00)
政府は、社会・経済のデジタル化を追い風に市場での支配力を強める「デジタル・プラットフォーマー」を巡る規制のあり方などについて、このほど中間論点整理案をまとめた。巨大プラットフォーマーとどう向き合うかは世界的にも議論の的であり、わが国も大きな方向性を示す時に来ている。
論点整理の題目は「デジタル・プラットフォーマーを巡る取引環境の整備」。独占禁止法にも関わるエッセンシャル・ファシリティー(不可欠施設)の法理なども含め、社会・経済に不可欠なデジタル基盤のあり方について広範な検討を試みている点が興味深い。
一方で、アマゾンやグーグルなど米IT大手4社(GAFA)を強く意識していることも読み取れる。
GAFAに代表される巨大プラットフォーマーに対して、欧州連合(EU)は一般データ保護規則(GDPR)の施行など、個人データの取り扱いを起点に、透明で公正な取引環境の整備に力を注いでいる。
わが国は個人情報保護法の改正や銀行法改正に基づく「銀行API」の開放により、個人データの保護と利活用の促進の両立させる方向に舵を切ってはいるが、まだ緒に就いたところ。
ただ、21世紀の新しい天然資源とも称されるビッグデータ商戦は待ったなし。世界をみると、巨大プラットフォーマーが個人データの収集と引き換えに有益なサービスを無料で提供するビジネスモデルで成功を収め、その先の人工知能(AI)の活用でも先陣を切っている。
今回の論点整理案は経済産業省、公正取引委員会、総務省が「未来投資戦略2018」に基づき、7月から検討会を設けて議論してきた。まだ中間報告であり、今後は事業者などからの意見も広く求めていく方針だ。
デジタル・プラットフォーマーを巡る取引環境の整備では広範な議論が求められる。法体系だけでも、競争法や個人情報保護法、消費者法とあり、見直しには大局的な視点が問われる。土台となる国家レベルでのデジタル戦略に期待したい。
(2018/11/20 05:00)
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