[ 政治・経済 ]
(2018/12/1 15:30)
【ワシントン=時事】1991年の湾岸戦争を主導した第41代米大統領ジョージ・ハーバート・ウォーカー・ブッシュ氏が30日、死去した。94歳だった。ブッシュ氏の事務所が声明で発表した。在任中、ソ連との東西冷戦に終止符を打ち、核軍縮交渉を進めて冷戦後の国際秩序づくりに尽力、国内では故レーガン元大統領と共に共和党の黄金時代を担った。
レーガン政権の副大統領を経て、88年の大統領選で当選し、89年1月に就任した。同年12月、ゴルバチョフ・ソ連共産党書記長(当時)と地中海のマルタ島で会談し、冷戦終結を宣言。ソ連と継承国ロシアとの間で二つの戦略核兵器削減条約(START1、2)を締結した。
90年8月にイラクがクウェートに侵攻し、国連を通じた外交工作が不調に終わると、米軍を中心とする多国籍軍を組織し、91年1月に空爆を開始。2月には地上戦も展開してクウェートを解放した。
ただ、イラクのフセイン政権を崩壊まで追い詰めず、一部の保守派から批判を浴びた。長男のブッシュ元大統領が2003年のイラク戦争でフセイン政権を倒した。
91年12月にソ連が崩壊し、米国は唯一の超大国となったものの、国内景気が悪化し、財政・貿易赤字が増大。有効な経済対策を打ち出せず、一時9割を超えた支持率は急落し、再選を目指した92年の大統領選で民主党のクリントン氏に敗れた。
24年、マサチューセッツ州ミルトン生まれ。18歳で海軍に志願し、雷撃機のパイロットとして太平洋戦争に参加。小笠原諸島の父島付近で旧日本軍に撃墜され、救助された経験を持つ。
戦後、名門エール大を卒業。バーバラ夫人とテキサス州に移り住み、石油業界に入った。66年下院議員に当選。国連大使、中央情報局(CIA)長官など要職を歴任し、81年からレーガン政権で2期副大統領を務めた。
(2018/12/1 15:30)