[ オピニオン ]
(2018/12/25 05:00)
世界的に旺盛な旅客機需要を追い風に、国内の航空機産業は成長を続けている。主要構造部位の供給を通じて培った国内航空機部品メーカーの設計・生産技術は、国際的に十分な競争優位性を持つ。将来の飛躍に向け、航空機メーカーに直接部品を供給するティア1への発展が不可欠だ。
航空機産業が集積する東海3県(愛知、岐阜、三重)で、民間信用調査会社が行った動向調査によると、関連企業77社の2017年度売上高合計は前年度比6・7%増の2379億円。米ボーイングの新型中型機「787」向け受注が増えた。
米ボーイング、欧エアバスとも日本市場に関心を示しているという。納入が遅れているとはいえ、国産小型旅客機「MRJ」への期待は高く、今後国産部品の採用が増えると見込める。
拡大の背景には大手に加え、中小企業の参入意欲の高まりがある。中小各社が強みを持ち寄り、クラスターを形成する動きが活発なことでも分かる。
従来、機体メーカーは部品発注に際して各工程ごとに下請け企業に発注している。近年はサプライチェーンの強化・拡大を反映し、ティア1に複数工程の一貫化を求める流れがある。クラスターは機体メーカーの調達方式の変化に対応できそうだ。
狙い目はエンジン部品と言われる。エンジンは納入後もメンテナンスが必要で、継続して部品納入が見込める。エンジン部品メーカーを育て、国産エンジンのクラスターを形成すれば、ティア1への道が見えてくる。
課題もある。他の産業と同様、人材育成は急務だ。航空宇宙産業に乗り出す中小企業は他分野からの参入が多く、元々高い技術力を持つ。航空機部品とはいえ、技術の基礎は切削、板金などだ。多能工化を図り、少数精鋭集団化する方法もある。
11月下旬に開かれた「国際航空宇宙展2018東京」では、各地の中小企業、クラスターが海外企業と精力的に商談する光景が見られた。企業の主体性は当然だが、国や自治体と一体となった取り組みの一層の推進を望みたい。
(2018/12/25 05:00)
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