[ オピニオン ]
(2019/1/4 05:00)
2019年の日本経済は、個人消費や設備投資といった内需にけん引される形で緩やかな成長軌道を描く見込み。12年12月に端を発した景気拡大局面は、すでに高度成長期の「いざなぎ景気」を超え、19年1月末には73カ月続いた戦後最長の記録を更新する可能性が大きい。
良好な雇用情勢を背景に、個人消費が底堅く推移するほか、人手不足に伴う省力化需要の高まりや好調な企業業績に支えられ、設備投資も力強さを取り戻すとみられる。さらに米国経済が堅調なことから、米国向けを中心に輸出が持ち直せば、景気回復は一段と加速するだろう。
今年10月には消費税率の引き上げが予定されている。前回14年4月の増税で個人消費が大きく落ち込んだため、今回も同様の事態が危惧される。しかし、増税幅が前回より小さいうえ、軽減税率が導入されるほか、各種の経済対策も講じられる見込みで、個人消費の大幅な落ち込みは避けられるもようだ。
リスク要因として挙げられるのが米中貿易摩擦の激化だ。米中両国の覇権争いがあり、解決には時間がかかるものとみられ、世界経済に不透明感が漂う。すでに中国経済は減速傾向にあるうえ、米国景気も昨年末から急速に減速懸念が高まっており、わが国の輸出に深刻な影響を与えかねない。
今年のG20サミットは日本で開催され、米国との物品貿易協定(TAG)交渉も始まる。安倍晋三首相はこうした機会をとらえ自国優先の保護主義に警鐘を鳴らし、自由貿易の重要性を訴え続けなければならない。
企業は良好な収益状況を生かして、賃上げに加え人材開発や研究開発を含む設備投資を通じて生産性向上に努め、収益増大、消費拡大という好循環の実現を目指してほしい。
これに対し政府は、企業の賃上げや投資を後押しする「生産性革命」を推進すべきだ。合わせてIoT(モノのインターネット)、ビッグデータ、人工知能(AI)などの技術革新を取り込む形での「ソサエティー5・0」の実現に向けて各種施策を着実に実施してほしい。
(2019/1/4 05:00)
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