[ オピニオン ]
(2019/1/16 05:00)
6400人強の犠牲者を出した、阪神・淡路大震災の発生から17日で24年を迎える。同震災は平成の約30年間を振り返っても、都市で起こる災害のもろさを浮き彫りにした出来事だった。昨年、西日本エリアでは大阪北部地震、西日本豪雨、台風21号と大規模災害が相次いだ。今後は広域・複合型災害の「南海トラフ地震」も待ち構える。経済の屋台骨を担う企業には、実践的な事業継続計画(BCP)に沿った、防災・減災につながる行動を進めてほしい。
南海トラフ地震は、今後30年以内に発生確率が約70%とされる。被害は茨城県から沖縄県まで全長2000キロメートル以上の範囲で、最悪で約32万人の死者、被害想定額も最大220兆円と推計する。日本にいる限り災害は避けられず、発生時にいかに被害を食い止め、早期に復旧体制を築けるかが求められる。
経済産業省・中小企業庁が2018年3月に発行した「中小企業BCPガイドブック」には災害の備えとして五つのポイントを定める。重要商品(事業)の特定、復旧の目標時間を考える、取引先と(災害時のルールを)事前協議しておく、(事業拠点など)代替案を用意・検討する、従業員とBCPの方針や内容で共通認識の形成―だ。BCPは経営改善と同じく、常に見直しをかけないといけない。
「防災・減災の担い手」として企業の果たす役割は大きい。保有する技術・製品を防災に活用することはもちろん、各工場や事業拠点は自治体などと連携し、救援活動を行う最前線として役立つ。普段から連携体制を築くなど、関係構築は重要だ。
神戸市長田区に本社を置く産業ベルトメーカー、三ツ星ベルトの行動は参考になる。同社は阪神・淡路大震災が発生した1月17日を「三ツ星ベルト防災の日」とし、消防署などの協力を得て、大規模な総合防災訓練を1月に毎年行っている。
何年たとうと大きな災害を経験した企業は、その体験や教訓を語り続けてほしい。大手企業に加え、まちへの思いを持つ地域の中小企業を含め、きたる大災害に備えるためにも必要だ。
(2019/1/16 05:00)
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