[ オピニオン ]
(2019/1/17 05:00)
昨年は多くの「若武者」が世間をうならせた。フィギュアスケートの羽生結弦選手が国民栄誉賞を授与され、将棋の藤井聡太棋士は通算100勝の最年少記録を更新した。メジャーリーグでは、大谷翔平選手が、イチロー選手以来17年ぶりの新人王に輝いた。
武者とは戦いを担う人を指す。戦のない現代では特に一芸に秀でた者と言えよう。今年はどんな若武者が我々の目を楽しませてくれるのだろう。
大阪夏の陣で豊臣方の武者として活躍した薄田兼相は「橙(だいだい)武者」と呼ばれた。剛腕な薄田は敵を侮り、遊興にふけっている隙に砦を敵に奪われてしまう。これ以後、見た目は立派だが酸味が強く食べられない橙に見立てて、見かけ倒しな者をそう呼ぶようになった。
日産自動車のカルロス・ゴーン前会長の逮捕劇はいまだその余波が収まらない。ゴーン氏の剛腕は誰もが認めるものの、長期政権でおごりが生じたか。平成の橙武者と呼ばれるかどうかは歴史に委ねよう。
波乱の戌(いぬ)年が終わり、亥年が始まった。米トランプ政権の混乱や米中貿易摩擦などで、世界経済の先行きは不透明さを増している。こんな不安定な時代だからこそ、経済界は一丸となり「我武者羅」に一年を乗り切ってほしい。
(2019/1/17 05:00)