[ オピニオン ]
(2019/1/21 05:00)
トランプ米政権が20日で満2年となり、3年目に入った。日本政府は、通商面で、アジア地域包括的経済連携(RCEP)など多国間による協調の枠組みを生かしながら、アジア経済圏の構築など、新たな通商戦略を描く局面にきている。
2018年の世界情勢は、トランプ米国大統領が絡まない出来事はほぼなかった。異端の指導者がかき乱す世界は、いまや常態化している。世界秩序の変容を示す最大のテーマは、「米中」だ。トランプ米国大統領は、中国の習近平国家主席を「親しい友人」と持ち上げるものの、米国と中国の関係は、競争から衝突へと1年で激変した。
「歴代政権は中国の行動を無視するか、多くの場合は助けてきた。しかし、そうした日々はもう終わった」。18年10月4日にペンス米国副大統領が演説した米国の対中戦略は、融和的な姿勢に明確な決別宣言をした。演説の中で、同氏は、中国の不公平な貿易政策や為替操作、補助金による国有企業育成策を批判。最先端産業の支配を目指す「中国製造2025」計画を旗印にした技術移転の強要や知的財産の侵害を「略奪」と非難した。冷徹な対中外交の指針は覇権争いの長期化を予感させる。
「米国第一主義」の貿易戦争は広がりを増す。安全保障の脅威で輸入制限を認める通商拡大法232条を盾に鉄鋼やアルミの輸入に関税をかけると、欧州連合(EU)は米国産バイクやバーボンへの関税で応酬した。同盟国同士の報復合戦は、トランプ流による世界の力学の変化を如実に表す。
多国間の協調の枠組みは、米国の「2国間主義」の前に色あせた。米国は、カナダやメキシコと北米自由貿易協定(NAFTA)に代わる新協定に合意した。日本やEUも相対の貿易交渉を受け入れた。
日本はEUやアジア諸国などと連携しながら、多国間協調の枠組みを強固にしていくことが必要だ。合わせて、東南アジアなど、アジア諸国との経済連携をより緊密にし、米国に圧力をかけるようなアジア経済圏の構築に力を尽くすべきだ。
(2019/1/21 05:00)
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