[ オピニオン ]
(2019/1/25 05:00)
ミクロな話で、いかがかと思われかねないが、昨年、近所の酒販店が2店も廃業した。とはいえ、大手コンビニエンスストアが徒歩圏に3店あり、酒類専業ディスカウントストアまで近所なのであまり実害はない。
ただ、平成の終わりと照らした感慨はある。この30年は「規制緩和」の時代でもあった。酒小売りの免許制が取り払われ、タクシー台数の制限はなくなり、電力・ガスなども自由化された。
大手流通業の再編も進んだ。端緒となった1997年(平11)ヤオハンジャパンの経営破綻以後、長崎屋、マイカルなどが市場を去っていった。並行するように、米国から非関税障壁と批判された大規模小売店舗法が2000年に廃止されて、大規模小売店舗立地法に改められ、トイザらスジャパンをはじめ「黒船」が台頭した。
東京商工会議所の副会頭も務めた岡田卓也イオングループ名誉会長は「規制緩和とは何か」と問われ、「スーパーで本みりんを売れること」と答えた。
みりんは調味料として用いられることが過半ながら、ビールやウイスキーなどと同様に酒税が掛けられる。そのため、酒販免許の改正前は、「みりん風調味料」しか売れないスーパーも多かった。今は昔の話である。
(2019/1/25 05:00)