[ オピニオン ]
(2019/1/28 05:00)
ある大手製造業の社長の話だ。海外工場で新しい製品の生産を始めるために現地で採用した正社員数人を日本の本社で研修させることになった。ところがビザが下りず、日本に呼べなかった。
しかも同社は理由を尋ねたが、説明は一切なかったという。「こちらに問題があるなら教えてほしい。理由が分からないと改善も対策もできない」とその社長は困惑する。
グループ企業の正社員が、明確な理由なく本社のある国への入国を拒否されるということは、他の先進国でもあることなのか。私は聞き違いか勘違いかと思い「本当か」と聞き返した。まして同社は特定製品で世界有数の市場シェアを持つ「日本ブランド」の貢献企業だ。
出入国管理法が改定され、外国人材の受け入れ枠が4月から広がる。人材不足が深刻化し中小企業の経営者からは「日本人を採用するのはあきらめた」との声まで出る状況に対応した施策だ。
ただ、法改正前には運用の詳細が示されないなど、人材を受け入れる財界側からも戸惑いの声が挙がり、拙速のそしりもある。世界にはいろんな常識や考えがある。「明確にルールを示し、説明し、みんなで守る」のが国際化の基本だろう。変わるべきは制度だけではない。
(2019/1/28 05:00)