[ オピニオン ]
(2019/2/15 05:00)
景気上昇局面で景気回復の勢いが鈍り、横ばいの状態に陥っていることを「踊り場」という。現在がまさにその状態で、ここから上昇するのか、下降してしまうのか注目される。改元、大型連休に伴う消費や増税前の駆け込み需要が景気を押し上げることが期待される。
内閣府が発表した2018年10―12月期の実質国内総生産(GDP)1次速報値は、年率換算1・4%増で、2四半期ぶりにプラスに転じた。プラス成長となったものの、7―9月期のマイナスが大きかったことを考慮すると、それを取り戻すには至っておらず、緩やかに回復してきた景気が減速傾向にあることは否めない。
需要項目別では、自然災害の影響で前期不振だった個人消費や設備投資が反動増となったものの、外需寄与度が3期連続のマイナスに終わった。この結果、18年通年のGDPは0・7%増の低い伸びにとどまった。
先週発表された18年12月の景気動向指数は2カ月連続で低下し、景気判断は4カ月連続で「足踏み」だった。一方、19年1月の月例経済報告は景気判断を「緩やかに回復している」で据え置き、茂木敏充経済再生担当相は記者会見で景気回復期間について「戦後最長になったとみられる」と表明した。政府レベルの経済統計でも“明暗”が入り交じっているのが実情だ。
先行きについては、企業の収益環境や雇用情勢が引き続き良好なことから、個人消費は底堅く推移する見込み。さらに設備投資も生産能力増強をはじめ人手不足に対応する省力化などの需要は依然として旺盛で、持ち直す公算が大きい。気がかりなのは米中貿易摩擦の激化によりわが国の輸出が打撃を受けることだ。
今年の春闘では経団連が官製春闘から脱する姿勢を示しながらも好調な企業収益を背景に賃上げの継続を打ち出しており、ヒトへの投資は維持される見込み。賃金上昇が消費を喚起し、企業収益をさらに押し上げるという好循環が生まれることを期待したい。それはGDPの押し上げにもつながる。
(2019/2/15 05:00)