[ ICT ]
(2019/2/15 05:00)
インターネット通販最大手の米アマゾン・ドット・コムは、ニューヨーク市に第2本社を建設する計画を取りやめると発表した。一部住民や政治家の激しい反対に屈した格好だ。市長や州知事は過去最大の経済的勝利になると述べていたが、実現しないことが明らかになった。
ニューヨーク州のクオモ知事とニューヨーク市のデブラシオ市長は、アマゾンの第2本社招致で積極的なロビー活動を展開。知事は自分の名前を変えてもよいとまで冗談めかして述べていた。両氏はアマゾン誘致により、向こう20年間に平均給与15万ドル(約1660万円)の雇用が最大4万人分創出されると説明していた。
だが誘致活動の開始早々から地元は激しく反対。議員らは誘致を巡る交渉に関与できなかったことに不満を表明。また市が歳出削減に直面するさなかに、アマゾンに対し30億ドルの優遇措置が提供されることにも批判が上がった。また一部市民らの間でも、家賃上昇で古くからの住民が追い出されるとの不安や、既に疲弊が激しい地下鉄システムは大量の労働者流入で一層苦しい状態に追い込まれるとの懸念が強まった。
テックNYCのエグゼクティブディレクター、ジュリー・サミュエルズ氏は「アマゾンが下したニューヨーク断念の決定が、地元経済に大きな打撃となることに疑いの余地はない」と指摘。「ニューヨーク市は現在、世界で最もダイナミックなテクノロジーハブの一つだが、将来この地位を維持できる保証はなく、今回のニュースには強く失望させられる」と語った。(ブルームバーグ)
(2019/2/15 05:00)