[ オピニオン ]
(2019/3/1 05:00)
世界の1人当たりの食用魚介類消費量は増加傾向にある。水産庁によると、食品流通の国際化やたんぱく質を多く含む食品を中心とした食生活への移行などにより、1961年から50年余りで消費量は倍増した。
一方、日本は事情が違う。2016年度の食用魚介類の1人当たりの年間消費量は24・6キログラム(概算値)。ピークである01年度の4割減まで落ち込んだ。調理に手間がかかると思われているようだ。
とはいえ、日本人が魚と縁を切ることは難しい。コンビニエンスストアでは、ツナマヨネーズやサケ、タラコのおにぎりが定番。おでんには、練り物が不可欠だ。魚介スープが人気のラーメン店には行列ができる。
アレルギーで魚を食べられない体になり、いかに自分の生活と魚が密接だったかを実感した。日頃の食事はもちろん、旅行に行くにも海の幸が豊富な土地は排除しなければならない。旅の楽しみまで奪われた。
日本と対照的に魚の消費量が増えているのが中国。欧米でもすしをはじめ、日本食のレベルが上がってきており、刺し身への抵抗感も薄らいでいる。これから消費量は増えそうだ。大切なモノは失って初めて気付く。日本人にとって、魚はそんな存在なのかもしれない。
(2019/3/1 05:00)