[ オピニオン ]
(2019/3/28 05:00)
外国人労働者の受け入れを拡大する改正出入国管理・難民認定法(改正入管法)が4月から施行される。国と地方自治体が連携して、文化の相互交流を重視する異文化横断性(通文化主義)の発想に基づいた共生戦略を進めていけるかどうかが成否のカギを握りそうだ。
移民政策に精通する小井土彰宏一橋大学大学院教授は、移民政策を貫く発想として、「各文化を個別的に保護し固定化するのではなく、文化の相互交流を重視する異文化横断性が必要」とみる。
日本と同様に移民の後発国の一つとして、スペインが挙げられる。同国が移民受入国に転換したのは、1980年代後半。少子高齢化の進展に伴う人手不足が引き金となった。その後、2000年代に入り、約8年間で約400万人の移民が増加した。その間、相対的に移民をめぐる社会紛争は少なかったという。経済危機ということもあり、反移民運動も勢いを増すということはなかった。
こうしたスペインの移民政策の成功の背景には、社会統合政策の推進が挙げられる。社会統合政策を進めるため、全国的な対話の場となる「全国フォーラム」を設置した。ここには、中央政府、地方政府、移民・難民団体、社会的支援団体の代表らが参加する。この場で、移民をめぐる法律の基になるさまざまな提案をしていく仕組みだ。
日本もこうした全国的な移民の対話の場を設けていくことが必要だ。常に現場の問題や不満を吸い上げていくためだ。また、各地区ごとに移民への定期的な自治体の情報や個別案件ごとの手続きの窓口などのきめ細かな情報提供も不可欠だ。
一方で、移民間や移民と自治体間、移民と現地の民族などをつなぐ専門家の養成も課題だ。この専門家は単なる通訳とは違い、制度や相手の意図を理解し、問題解決にあたる。異文化を媒介する担い手とも言える。
建前上の理念と規制だけでは、社会的な差別や対立の構図という紛争の火種となりかねない。移民政策は積極的な共生戦略という視点が求められる。
(2019/3/28 05:00)
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