[ オピニオン ]
(2019/4/2 05:00)
「創業35周年記念 42年2月」―。そう書かれたお盆に「戦前の記念品ですか」と驚かれた。実は1967年(昭42)のもの。
元号の法的根拠は77年施行の元号法。ただ、それまでも2ケタ年号は昭和が常識だった。新聞やテレビの報道も西暦は一般的でなかったから、大阪万博の「♪1970年のこんにちは〜」の歌詞に清新さがあった。
日刊工業新聞が発行日を西暦にしたのは昭和最後の89年1月だった。国際関係が緊密になり、産業界でも西暦が常態化。「M・T・S」という元号の略が台頭した。ダメ押しは「ウィンドウズ95」だろう。電子計算では元号は使いにくい。
日常からは少し距離を置いたにもかかわらず、元号は文化的シンボルとして受け入れられた。ひとつの世代を元号でくくって回顧するのは意味がある。西暦だってミレニアムは盛り上がった。日本独自の文化を世界に誇りたい。
5月に始まる「令和」時代。昭和の西暦換算は25年差だった。平成は2000年を挟んで面倒だったが、次代は18年差で計算しやすいので日常にも使いやすい。「命令・長官」の意を持つ「令」の字が冷たく感じられないよう、人々が和し、日本の令名が世界に高まる良き御代になりますように。
(2019/4/2 05:00)