[ オピニオン ]
(2019/4/12 05:00)
昼時になると濃紺のスーツに身を包んだ新入社員とおぼしきグループを散見する。入社数年もたてば「昼休みぐらい一人になりたい」となりがちだが、新入社員時代はとかく話題が尽きないのは今も昔も変わらないようで、歩くさなかにも笑い声が響いている。
初めての通帳―。こちらはいささか事情が変わった。会社で給与振り込みの指定銀行がない場合、通帳がないネット銀行を総務に届け出る新入社員も少なくないらしい。
メガバンクも地方銀行も既にATMの“自前主義”脱却を鮮明にし、台数減少が続く。受け皿となるコンビニエンスストアのATMで、引き出し手数料が無料になる設定のハードルが低く、無料回数も多いとされる銀行はネット銀行が大半だ。
キャッシュレスが浸透し、現金を引き出す行為が激減すればまた状況は変わるのだろう。銀行に限らず、訴求力の要素は時代によって目まぐるしく変化する。若い人たちの柔軟な感性と対応力に大いに期待したい。
濃紺スーツの背中を見やりながら、ふと気になったのは初めての給料の使い道だ。両親へ何かを贈る風習はまだ残っているのだろうか。親世代の期待は結構大きいので「そこは変えなくていいよ」と都合よく考える。
(2019/4/12 05:00)