[ オピニオン ]
(2019/5/9 05:00)
日本酒市場の右肩下がりが続いている。よく耳にする「お酒離れ」がその一因のようだが、そんな中で「純米酒」や「純米吟醸酒」の需要は伸びているそうだ。個人的にも日本酒を飲むならば、勝手に純米酒の方が醸造アルコールを加える「吟醸」「本醸造」より良い(上等な?)酒だと思い、選んでいた。
先日、ある老舗の酒造会社を取材してこの思い込みが大きな勘違いであることを思い知らされた。杜氏(とうじ)によれば「売れる酒のことだけ考えれば、純米酒の方がリスクもない。すっきりとした良い風味の酒をつくりたいから醸造アルコールを加えるのだ」という。
酒を仕込んで何も加えずに搾れば純米酒になる。そこからイメージした味に仕上げるために、搾る頃合いを見極めて醸造アルコールを直前に加える。加えるタイミングが命で、違えば台無しになる。
そんなことも知らずに「純米酒の方が良い」と思い込んでいた。一般の消費者の多くも同様だそうで「かさ増ししている」「妙な添加物を使っている」などと勘違いする。これが吟醸・本醸造に比べ純米酒と純米吟醸酒が選ばれる理由らしい。
それを分かった上で杜氏はあえて手間やリスクを負ってでも、うまい酒がつくりたいのだという。
(2019/5/9 05:00)