[ オピニオン ]
(2019/5/10 05:00)
建設産業に情報通信技術(ICT)が浸透している。設計や施工で建物の3次元モデリング技術「BIM」が普及、先端技術を駆使した試行が相次ぐ。
竹中工務店と日本建築センターは、そのBIMと複合現実(MR)技術を建築確認の検査に利用した。BIMモデルを投影させたMR用ヘッド・マウント・ディスプレーを装着し、検査用BIMモデルと実際の検査対象物を重ね合わせて目視検査する。初の事例とみられる。
中間検査で構造部材を断面寸法、材料種別ごとに色分け表示し、鉄骨やブレース(筋交い)の位置、断面、材種の三つを確認。完了検査も設備機器・器具、配管・ダクトを種別や系統で色分けし、視認性を高めた。空間を把握する確度が上がり、効率的で的確な検査が可能になった。
「共有クラウド」を使い、質疑をタブレット端末で設計者や施工監理者に送れる。現場に行かなくても指摘箇所をチェックできるため、情報共有をスムーズにした。
今後、両社は実績を重ねて、BIMとMR技術による検査のルール化を検討する。「MRの有効性が分かった。効果が上がる検査に利用していく」(花岡郁哉竹中工務店東京本店設計部設計4グループ長)。MR検査の可能性が広がる。
(2019/5/10 05:00)