[ オピニオン ]
(2019/6/5 05:00)
地域での人工知能(AI)やビッグデータ(大量データ)を駆使したサービスを後押しする国の「スーパーシティ特区構想」が固まった。世界各地ではIT実装のまちづくりがみられ、日本の周回遅れを取り戻す政策。「経済的にも政治的にも橋頭堡(きょうとうほ)」(竹中平蔵東洋大学教授)と関係者は胸を張る。都市の“稼ぐ力”を磨くため、慎重かつ迅速な制度展開が求められる。
スーパーシティでは、交通や防災、教育、金融などのデータを分野横断的に収集・整理・提供し、住民の福祉や利便性を向上させる。地域の官民が「自動運転バスの走行」や「オンラインによる遠隔診療」といったサービスをし、経済発展と問題解決を図る未来社会「ソサエティー5・0」を実現する構想だ。
実際のサービスを支援する点が新しい。片山さつき地方創生担当相は「従来の特区にかかわる規制改革とは手順が逆」と強調する。特例措置を設け事業計画を進める従来の特区に対し、先に地域官民の合意を経て事業計画を国に立案。必要な特例措置を求められた首相は関係大臣に規制改革を要請できる。
サービスを実現するインフラ「国家戦略特区データ連携基盤」は関係する行政、住民、企業などのデータを連動させる。国家戦略特区法改正が必要で、政府内手続きに手間取った。
ITをめぐる競争は世界的に激化し、中国やインド、スペインなどで最先端都市整備が進む。政府は地方でのソサエティー5・0を支援すべく、現在策定中の第2期「まち・ひと・しごと創生総合戦略」の中核に据える。自治体間で意欲や目指す方向に差はあるが、スーパーシティ級を目指す自治体も「十指に余る」(片山担当相)という。
同特区を国に提案した竹中教授は「日本はパーツごとには優れた技術をもつが、全体を組み立てられない。スーパーシティなら、住民合意のもとで第4次産業革命のフロンティアの素地ができる」と語る。内閣府は6月の主要20カ国・地域(G20)会合の期間中、スーパーシティに関する紹介を予定する。国民にも分かる説明が必要だろう。
(2019/6/5 05:00)
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